Philosophy
大橋利紀建築設計室の設計作法について、
代表の大橋が語ります。
短命なデザインの家は、
設計いたしません。
長く愛される住まいのデザインに共通する3つの必然性は、
「形の必然性」「素材の必然性」「色の必然性」の3つです。
建築にとっての大切な3つの要素を丁寧に扱い設計いたします。
バランスのみでデザインした、
「浅はかなデザイン」は、しません。
本来、デザインは「必然性」と「バランス感覚」と「社会性」により
形成され、意味が発生します。
バランス感覚のみでデザインしたモノは、
「浅はかなモノ」となり、時というフィルターを通して
あらゆる破綻が明らかになります。
時を重ねても輝きを失わないデザインを我々はつくります。
ファッション化された建物は、
設計いたしません。
多くの建物は大量消費される洋服の様に、
その時々のトレンドを取り入れた
ファストファッション化されたモノになりつつあります。
それらは、短命ですぐに飽きてしまい、
一時的な表層の魅力もいずれ色褪せてしまいます。
それらは「長く愛される住まいのデザイン 」とは、相反するものです。
私達はその様な建物をつくりません。
風景の良くない場所に、
窓は作りません。
窓の役割の3つは、「風景」を得る、「光」を得る、「風」を得る
…豊かに過ごすために必要な3つの要素です。
内部空間と外部空間をどのように繋ぐかが豊かに過ごすための建築の本質です。
だから、私達は「窓」を丁寧に扱い、設計します。
結果として昼間からカーテンを閉じなければいけない建物にはなりません。
庭のない建物は、
設計いたしません。
窓から見える風景には、緑があったほうがいい。
手の届く距離感に、緑があったほうがいい。
四季を感じるためには、緑があったほうがいい。
風のを感じるためには、緑があったほうがいい。
太陽の恵みを感じるのには、緑があったほうがいい。
…だから、私達の建物にはすべて緑があります。
華美にデザインされた建物は、
設計いたしません。
古来より日本の美意識として、陰翳を階調(グラデーション)として捉え、
狭小空間を「素材」+「陰翳」で表現する美学が存在しました。
華美でなく、雅(みやび)と簡素を両立したものです。
我々はその様なものを表現していきます。
新建材を多用した建物は、
設計いたしません。
新建材やビニール製の建材は、経年劣化するため出来た時が1番きれいな状態です。
そのため短期間で「スクラップ&ビルド」を繰り返す必要があります。
これに対して、木や石、漆喰、真鍮など本物の素材は、
時と共に味わい深いものになり、永く愛着をもって使うことができます。
人と同じで年月を重ねる程に深みを増していく
…その様な建物こそ私達の目指すものです。
無意味に明るい建物は、
設計いたしません。
場所に用途により適切な明るさがあります。
タスク(作業)が発生する面は、必要な明るさを確保する必要がありますが、
すべての場所が均一に明るくする必要はありません。
寛ぎたい場所では、暗い所が適度にあると「落ち着く」ことができますが、
明るすぎると「落ち着かない」場所になってしまいます。
私達は明るい光源で全体を照らす事はせず、
立体的に配置した多灯分散型の照明計画を行います。
太陽の動きを無視した建物は、
設計いたしません。
年間を通じて太陽の軌道は大きく変化します。
夏期の軌道は高くなり、昼間の大部分の熱は屋根から室内に入ってきます。
朝日と夕日はそれぞれ北東と北西から建物を熱します。
冬期の軌道は低く、晴れた昼間の南の窓からは
たくさんの熱を室内に共有してくれます。
私達は、敷地を読み取り、太陽の恵みを年間を通じてコントロールし
快適で健康的な室内環境をつくります。
敷地環境を無視した建物は、
設計いたしません。
建物が建つ周辺環境には、「良い所」と「そうでない所」があります。
その特徴はすべての土地で異なり同じ土地は一つとしてありません。
心地よく豊に過ごすためには、周辺環境を丁寧に読み取り設計する必要があります。
太陽の恵を取り込み、窓からは美しい風景のみ見える、
その土地でしか実現しない必然性のある建物を設計いたします。
そこにしかない、「豊かな空間と時間」があると信じて設計しております。